2.5Gbpsイーサーネット機器が出てきた

マルチギガビットイーサーネットとは、10Gbps/5Gbps/2.5Gbpsの転送レートのLANを指します。現在主流のギガビットイーサーネット1000BASE-T(1Gbps)より高速の規格です。
長い間このギガビットイーサーネットの時代が続いていました。近年やっと高速化の動きが出てきました。それは、デジカメ・スマホカメラの画像の大容量化・動画を扱う機会の増加と、2020年に無線LAN(WiFi) の新規格が誕生し、IEEE 802.11ax=WiFi6が9.6Gbpsもの理論速度になり、有線LANの ギガビットイーサーネット 1000BASE-T の転送レートよりも早くなる可能性が出て来たためです。
マルチギガビットイーサーネットには10Gbps/5Gbps/2.5Gbpsと速度の違いがあります。 どうせ機器の入れ替えが必要なら一気に10Gbpsにしたほうが良いのではないかと考える方も多いでしょう。
しかし現状では、 10GbpsのLAN=10GBASE-Tの対応機器が少ない状況です。また、下記の10G光回線の、実際の回線速度も2Gbps~4Gbps出ればよい方でしょう(地域や設置環境に左右される)
コストパフォーマンス(金額と性能)を考えた時、 2.5Gbpsイーサーネットは現実的な選択となるでしょう。YouTube(ユーチューバー)・動画クリエイター・大容量画像を扱うカメラマン・デザイナーなどの業種の方には 2.5Gbpsイーサーネットはお勧めです。
なおここでは有線LANでのネットワーク高速化の説明です。 WiFi6などの無線LANのことは、別に説明します。
10G光回線サービスが開始された
主な、10G光インターネット回線
フレッツ 光クロス
auひかり ホーム10ギガ
NURO光 10Gs・6Gs
J:COM NET 光 10Gコース
上記いずれも主要都市限定です。順次サービスエリアは広がるでしょう。この他、地域限定でサービスを提供している業者(企業)が存在します。
回線だけでは マルチギガビットイーサーネット にはならない
光回線を単純に10Gbps(5~6Gbps)の物に変えれば、 マルチギガビットイーサーネット 環境が整うわけではありません。LANケーブル、PCのネットワーク機能、スイッチングハブなども マルチギガビット ネットワーク対応にしなければ高速にはなりません。
フレッツ 光クロス対応レンタルルータ XG-100NEの仕様表を見るとLANポート(差し込み口)は4つあります。ただしうち3つは1000BASE-T/100BASE-TXで、一つだけが10GBASE-T/5GBASE-T/2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX対応です。
つまり1ポートだけが 高速なマルチギガビットイーサーネットとして使えるわけです。他のポートは 1000BASE-T(1Gbps) です。

2021年現在、標準で2.5GBASE-Tイーサーネットに対応しているノートパソコンは、一部のクリエイター向けPCやゲーミングPCと呼ばれる製品しかありません。(USB接続は下記参照)
デスクトップパソコンもノートパソコンもハード的に、 2.5GBASE-Tのポートを増設しなければなりません。(下記)
最近のマザーボードには マルチギガビットイーサーネットのポートが標準装備されている機種が増えてきました。いずれ市販PCも 2.5GBASE-Tのポート付が当たり前の時代来るでしょう。
デスクトップパソコンはLANボードを増設で対応可能
デスクトップパソコンは、2.5ギガビットLANボードと言うものをPCI Expressスロットに増設することで 2.5ギガビットの転送レートで通信が可能になります。
この 2.5ギガビットLANボードは各社から製品が発売され、実売2500円程度から購入可能です。
注意点は、PCI Expressのスロットがマザーボード上にあるのかどうか、空いているかです。ほとんどの デスクトップパソコンでは、スロット幅の広い PCI Express×16(グラフィックボードを付ける)のそばに PCI Express×1とか PCI Express×4などのスロットがあります。ただし何らかの拡張ボード(GPUボードとかTVチューナーのボード)を付けていて空が無い場合があります。この場合はUSB3.2での接続(下記参照)するしかありません。
2.5ギガビットLANボードは、ほぼ幅の狭いPCI Express×1、ロープロファイルサイズなのでスリムタイプのPCでも取り付け可能です。ただ一部のケースが特殊な形状のPCでは付けられない時があります。
ノートPCは、 USB3.0(USB 3.2 Gen1)での接続
PCI ExpressスロットのないPCやノートパソコンでは、USB有線LANアダプターを挿すことで 2.5Gbpsイーサーネットを実現できます。このアダプターも実売3000円程度で販売されています。
注意点、広告枠のマルチギガビットイーサーネットUSB有線LANアダプターはUSB 3.2 Gen1接続とされています。接続端子はタイプAです。
https://www.planex.co.jp/news/release/2019/20190531_usb-lan2500r.shtml
USB 3.2 Gen1とは従来USB 3.0と呼ばれていた規格(最大転送速度5Gbps)で、USB-IFにより名称がUSB 3.2 Gen1と変更されました。プラネックス社ホームページより
なおUSB-Cタイプのアダプターもあります。Mac miniやUSB-CのインターフェイスがあるノートPCユーザーは、この USB-Cタイプ の物がお勧めです。
忘れてはならないスイッチングハブ
光回線、LANケーブル、 2.5GbpsイーサーネットLANボード、 2.5GbpsイーサーネットLANアダプター以外に忘れてはならないのがスイッチングハブです。上記 光クロス対応レンタルルータ XG-100NE のところでも書きましたが、 LANポート1つだけがマルチギガビットイーサーネット対応です。複数のデバイスを接続出来ません。
2.5Gbpsイーサーネット対応のスイッチングハブがあれば、 2.5Gbpsイーサーネットに対応したデスクトップパソコン、ノートパソコン、NAS(ネットワークHDD)などを従来の1Gbpsイーサーネットより高速な環境につなぐことができます。 プラネックス社は2.5GBASE-Tを5ポート搭載したスイッチングハブ「FX2G-05EM」を販売しています。他社よりかなり低価格を実現しています。
1ポートはルーターに繋ぎますので、4台の機器が接続できます。
2.5Gbpsイーサーネットは実際のところどうなのか?
理論的には、 2.5Gbpsイーサーネットはギガビットイーサーネット (1Gbps )の2.5倍の転送レートのはずです。
光回線が「最大1Gbps」を宣伝しても実際には、 有線LANで下りで500Mbps~600Mbps出ればよい方だと思います。
この速度であれば動画閲覧(youtube)やリモートワーク(TV会議)などで不満は無いと思います。ただし、Google ドライブなどで大容量データなどをやり取りする時は、少し不満があるのではないでしょうか?
光回線を2Gbpsの物に変えてもルータのポートは1000BASE-Tなので1ポートだけの接続時に、少しだけ早くなる程度で2倍にはなりません。
2.5Gbpsイーサーネット環境を整えて最も高速化を感じるのは、NAS(ネットワークHDD)接続です。NASの利便性はここでは置いて置き、ITmediaのサイトで実際にテストされた情報を要約すると
1000BASE-T のPC2台接続で300~600Mbpsの速度 2.5Gbpsイーサーネット(ハブ)接続では1.5Gbpsあたりで頭打ちという結果でです。ポートが2つあるNASを使いリンクアグリゲーション(複数の回線を1つの回線として扱う)で接続すると2.5Gbpsの速度がでるようです。十分高速化の役割を果たすといえます。
結論として、 2.5Gbpsイーサーネット環境は整いつつあるのは確実でありイーサーネットは数年で 2.5Gbpsイーサーネットに置き換わるのではないかと推測します。ただし 10G光インターネット回線に変更しないと高速転送レートの恩恵は限定的にしか受けられません。
動画制作のSOHOなど大きなデータ共有の必要性がある事業所は、2.5Gbps対応NASを導入してシステムを組むとデータコピーの時間がかなり短縮されるでしょう。
10G光インターネット回線に関する投稿も近日予定しています。