Wi-Fi電波が弱い!メッシュWi-Fiと中継器

Wi-Fi電波が弱い、届かない!

無線LANの電波が届かないのはなぜ?

電波は目に見える光と同じような性質なので、広い野原のような場所では同心円状に電波が広がっていきます。発信源から距離が離れると電波が弱まっていくのはお分かりになるでしょう。
無線ルータは、縦方向に比較して横方向に電波が強いものが多く2Fや3Fで電波が弱い場合があります。
また障害物・遮蔽物があると電波は届きません。

スモールオフイスや家庭では、無線ルータの隣の部屋、L型の間取りや2階など距離・障害物などで、どうしても電波が弱くなる場所(届かない)が出来ます。これは壁やドアの素材、 無線ルータの アンテナの向き、設置場所で変わります。
時には電子レンジなど電波干渉機器の影響で接続が不安定な例も聞きます。なおテレビ、コードレス電話、IHクッキングヒーター、Bluetooth機器などもWi-Fi電波干渉機器です。

5つの電波が弱い時の改善方法

スモールオフィスや家庭でWi-Fi電波が弱い、届かない場所がある場合、大きく3(4)つの対処法があります。

1、Wi-Fiルーターの設置場所を変える、
2、Wi-Fiルーターそのものを変える
3、Wi-Fi中継器を追加する
4、Wi-Fiメッシュを構築する
5、PLC接続にする(電力線利用の有線LANに近い方式)

1のWi-Fiルーターの設置場所を変えるて改善さるれのは、経験的に言うと運が良ければと言った感じです。
2の多くの方はWi-Fiルーターそのものを変えるとは、強力な電波の機種に変えるのだと思っておられます。 Wi-Fiルーターのキャッチコピーに「ハイパワータイプ」とか「ハイパワーモデル」とか表示されている機種があり「 強力な電波の機種 」という誤解は致し方ありません。

しかし日本の電波法で無線LANルーターの出力は10mW以下「免許を必要としない無線局」と定められています。電波出力が 10mW以上の 無線LANルーターは現状では存在しません。
つまり「ハイパワータイプ」・「ハイパワーモデル」とか言っても電波出力は同じです。違うのはアンテナの性能です。アンテナが内蔵されているタイプと、数本飛び出して外付けしてあるタイプに分かれます。
部屋の形状や素材、干渉機器の存在などの要素が複雑で、アンテナ内蔵・外付けタイプの、どちらが性能が必ず高いとは言い切れませんが、アンテナ内蔵型が全方向均等に電波を出すのに比較して、アンテナ外付けタイプの方がアンテナ位置を変更することで電波の死角を減らすことが出来ると言われています。

もう一つ Wi-Fiルーターそのものを変える上で知っておくべきことは、Wi-Fiの電波には2.4GHzと5GHzの二つの周波数帯があります。古いWi-Fiルーターには 2.4GHz帯の電波しか使わない物も存在しました。この場合、上記にあるWi-Fi電波干渉機器の影響を受けやすい状態です。急にネットにつながらない、通信速度が遅くなる、などは干渉を受けている可能性があります。さらに言うと2.4GHz帯の電波は Wi-Fiでも込み合っているので、アクセスが集中する時間帯は通信速度がかなり遅くなるのは皆さん経験済みと思います。
現在販売されている Wi-Fiルーターは、ほとんどが2.4GHzと5GHz 両方を使うタイプなので、買い換えて5GHz帯の規格で通信するSSIDを設定すれば 干渉機器の影響は排除できます。
ただし 5GHz帯の電波は壁や床などの障害物に弱いので建物の環境によっては 2.4GHz帯を使った方が良い結果になる時があるのが悩ましいところです。(自動的に振り分ける機能がある機種も存在)

3、無線LAN中継器(Wi-Fi中継器)とは?

無線LAN中継器とは、元の(親)Wi-Fiルーターから発信された電波を一度受信して、その電波を転送(増幅)してパソコンやスマホなどのデバイスに中継する(子)機器です。Wi-Fiルーターの電波が届く範囲を拡大する機器であり「 Wi-Fiルーターの設置場所から離れている部屋・場所で通信が途切れがち」「2階の部屋に電波が届かない」という状況が改善されます。

無線LAN中継器(Wi-Fi中継器)を選ぶときは、まず規格をチェックしましょう。 Wi-Fiルーターが11ac規格なのに11n規格の中継器を導入してもルーターの性能の通信速度は出ません。逆も同じで中継器だけ新しい高速規格品であっても高速通信は出来ません。 パソコンやスマホなどのデバイスの対応規格も一応チェックしておくと良いでしょう。

次に電源の方式です。コンセント直挿し方式とACコード方式があります。 コンセント直挿しタイプがすっきり設置出来て多くの製品が 直挿し型です。コンセントの位置により延長コードで繋がないといけない場合があります。コンセントが、床に近く低すぎたり適当な場所にコンセントが無いため、中継に適した場所に設置できない( Wi-Fi機器は、1~2mの高さに置くと電波が届きやすいと言われてます)設置場所・コンセント位置を確認してから購入しましょう。

知識として知っておきたい中継モードのことがあります。 Wi-Fiの電波には2.4GHzと5 GHzの二つの周波数帯があるのは、色んな所で書いてますので理解されているでしょう。電波の中継方式にも種類があります。 ほとんどの方はオプティマイズモード(標準モード)で構わないと思います。知っておくと何かで役立つかも? モード切り替えはマニュアルを参照ください。

オプティマイズモード(標準モード):2.4GHz帯/5GHz帯のうち、どちらか接続状態のいい電波を重点的に使用して中継する

シングルモード:2.4GHz帯/5GHz帯のうち、どちらか片方のみの電波を使用して中継する

デュアルモード:2.4GHz帯/5GHz帯のうち、両方の電波を同時に使用して中継する

クロスバンドモード:2.4GHzと5GHz、一方の帯域の電波をもう一方の帯域の電波に変換して中継する

エレコムホームページより

ルーターを中継器にする裏技的方法もある

中継器ではなく、新しく Wi-Fiルーターを購入して、元々のWi-Fiルーターをを無線LAN中継器として使う方法もあります。これも規格(11n以上推奨)の問題があるのと、中継器として使うWi-Fiルーターに、中継器モード機能が必要です。APモード(アクセスポイントモード・ブリッジモード)の名称で中継できるメーカーもあります。メーカー・機種で表現や機能が異なりますので取説をよく読んでください。WPSボタンでポンと設定とはいきません。自信の無い方は素直にルーターと同じメーカーの中継器を購入したほうがよいでしょう。

Wi-Fiルーター の2台置き

中継器の話をすると「 Wi-Fiルーターをもう一台追加したら?」という質問がよくあります。
単純なWi-Fiルーターの複数台設置は、大きく2点の問題があります。
1、wi-fiルーター同士で電波干渉が発生し、通信回線が途切れる、
2、二重ルーターの状態になり、速度低下が起こる。(インターネットに繋ぐだけならそれほど問題ではないかもしれません。)

1、は使用する2.4GHz帯/5GHz帯を変えることで改善できます。(SSIDを変える)
2、有線LANで2台のルーターの距離を取る。買ってきたままま、二重ルーターの状態のままでOKですが、1台目のLANと2台目のLANは別になるので通信は出来ません。上記の中継器モードで運用する必要があります。

4、メッシュWi-Fi

数年前まで「2FにWi-Fi電波が届かないという場合、 Wi-Fi 中継器を使いましょう」が当たり前でした。近年は、メッシュWi-Fi用の機器が発売されてきて状況が大きく変わりました。

メッシュWi-Fiとは、文字通り網目(メッシュ=Mesh)のようにネットワーク機器を、接続しあう通信形態です。中継器に比べ、サテライト(エージェントともいう)が1台、1台、元のWi-Fiルーター(コントローラーともいう)同様の機能を持つので多数のデバイスを接続しても回線速度が下がりにくいというメリットがあります。元のWi-Fiルーター(コントローラー)とサテライト(エージェント )の接続方法には有線LANで繋ぐ方法と無線で繋ぐ方法があります。

メッシュWi-Fi の最大の利点は、業務用Wi-Fiでいうところの Wi-Fi ローミングが出来る事です。端末を移動しても接続が途切れない便利な機能です。
中継器の場合、(子)のエリアに入るとSSIDの切り替えが要ります。(SSIDを合わせる設定も可能ではあるが知識がないと難しい)

もう一点のメリットは、サテライト( エージェント )も接続処理を親機と同じように行うので端末が増えても処理がもたつくことはありません。つまり多数の端末デバイスを使えるわけです。

網目(メッシュ=Mesh)のようにネットワークを構築すると広範囲に Wi-Fi電波が 届くのは以前より分かっていましたが、規格が統一されてなく、メーカーの独自規格の製品が5~6年前から販売されていました。
価格が非常に高いのと、同じメーカーの機器でないとネットワークを構築出来ず、あまり関心を持たれず、普及しませんでした。Wi-Fi Allianceが2018年Wi-Fi EasyMesh規格を設定し状況が少し変わり、 Wi-Fi EasyMeshの認定商品であれば、メーカーが異なってもメッシュWi-Fi環境を構築できるようになりました。

ただし、規格的には対応・認定商品であっても、異なるメーカーでメッシュWi-Fi環境を構築するには一定の知識が要ります。またスマホやPCはOKでも、スマートスピーカーやゲーム機の一部で接続が途切れる事例があるようです。

国内メーカーでは、NECプラットフォームズと、 バッファロー が2021年秋現在、 Wi-Fi EasyMesh対応製品を出しています。IOデーターとエレコムは独自規格です。なお価格も全般に徐々に低下しています。

国内メーカーのエントリー機でメッシュWi-Fi

写真はバッファローのWiFi ルーターWSR-1800AX4で、8,000円代という比較的低価格の Wi-Fi EasyMesh対応製品です。元々1台で2階建てや3LDKで使えるということですので、複数台(2~4台)でメッシュWi-Fiを組めば、3階建てや少し広めの事務所でも十分使える製品です。

バッファローWiFi ルーター無線LAN 最新規格 Wi-Fi6 11ax / 11ac AX1800 573+1201Mbps 日本メーカー LANケーブル同梱【iPhone13/12/11/iPhone SE(第二世代)/ メーカー動作確認済み】WSR-1800AX4S/NBK

とにかく設定が簡単な方が良い場合

国内メーカの製品で、とにかく簡単に設定できる製品を希望される場合、ペアリング済みの製品があります。写真は、ネットワーク機器で定評のあるNECのAtermシリーズの一つです。価格は26,000円ほどです。

NEC 無線LAN WiFi メッシュルーター 親機&中継機セットWi-Fi 6(11ax)/AX1800 Atermシリーズ ペアリング済み AM-AX1800HP/MS

価格優先でメッシュWi-Fi

Wi-Fi EasyMesh対応にこだわらない、とにかく安く広範囲に安定した接続環境を構築したい場合、速度は11ac、メッシュ規格はメーカー独自ではありますがTP-Linkが「Deco」シリーズという機器を出しています。3台セットでも15000円代という価格です。

TP-Link WiFi 無線LAN ルーター メッシュWiFiシステム デュアルバンド AC1200 3年保証 3ユニットセット Deco M4

メッシュWi-Fiは 時期尚早?

無線LAN(Wi-Fiルーター)に接続するデバイスが近年続々と増えてきました。パソコン、スマートフォン、タブレットをはじめとし、テレビ、プリンター、スマートスピーカープレステなどのゲーム機等、さまざまな物がインターネットに接続され、家電製品までその範囲はひろがりそうな勢いです。
そのため、わずかに電波の届く範囲を格安で拡大するのは中継器、新築家屋、新規事務所開設、店舗新設などは メッシュWi-Fi機器の導入と言う流れになるでしょう。
ただ2021年の現状では、 メッシュWi-Fi は、発展途上であり、やや時期尚早ではないかと判断します。ここ1~2年で大きく状況が変わるでしょう。

デジタル機器は、次々に新規格、新製品が出てきます。様子見は必要ですが、どこかで思い切らないと便利さは享受できません。

メッシュWi-Fiが長くなり、まだ解説したいことがあります。5、のPLC接続は別の投稿で解説します。

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