LANケーブルは形状とCATの2つが選択のポイント
一口にLANケーブルと言っても、長さだけとっても非常に多くの種類があります。屋外用、屋内用、自作用などの要素は一般の方にとってはあまり縁のない事柄でしょう。普通に使う、よく流通している LANケーブルを購入・使用するための情報を書きます。なおこのページは2021年秋の情報です。急変することは無いと考えますし、随時加筆するつもりですが、IT関連の動き(規格変動など)は早いのでご注意ください。
ここで書いている内容は、いわゆるSOHO(スモールオフィスホームオフィス)、家庭内LAN構築が対象です。通信設備会社が工事するような大規模LAN構築は対象にしていません。具体的には紹介したケーブル類も小売りされている製品でかつ30mまでの商品です。なおLANケーブルは最長100mまでOKとされておりイーサーネット規格によっては普通のケーブルは30mまでが推奨とされています。(光ファイバーケーブルは500mもの長さの配線が可能)
LANケーブルの形状の違い
ストレートタイプ
昔からあるLANケーブルの形状で丸いコードです。ノーマルタイプの名称を使うメーカーもあります。エレコム製品の場合5.5mmの太さがあります、スリムタイプと呼ぶやや細い(3.5mm径)の物や、さらに柔らかさを求め芯材を変更した柔らかタイプ(4.4mm径)などがあります。メーカにより名称や規格が異なります。またケーブルの被膜に引っ張りに強りメッシュ素材を使った物もあります。
フラットタイプ
ケーブル部が、平たい形をした製品です。ほとんどのメーカ仕様が、厚さ:1.4mm(誤差範囲:±0.1mm) 幅:6mmとなっています。このフラットタイプも被覆に メッシュ素材のものがででいます。
フラットケーブルは、ストレートケーブルより性能的に劣ると思われている方がいますが規格(カテゴリー下記参照)が同じなら極端に性能が劣るわけではありません。(耐ノイズ性などは違うのであまり長い物は使わない方が良い)曲げる方向により断線の危険性はあります。
この他、屋内仕様、屋外仕様、UTPケーブル、STPケーブル、ヨリ線仕様、単線仕様の違いや、RJ-45コネクターの爪折れ防止プロテクターがあるかないかなどの違いがあります。一般的に、電気量販店などで流通している製品は、ほとんど屋内用、 UTPケーブル 、ヨリ線仕様で 爪折れ防止プロテクター付きRJ-45コネクターです。 単線仕様 ケーブルや、プロテクター無し RJ-45コネクターなどは、自作用、工事部材として販売されています。
管理人が、楽天市場LANケーブルランキングを見たところ。2021年10月第2週の上位はフラットタイプが占めています。
管理人の個人的感覚でいうと長めの配線はストレートタイプがお勧めです。(30mまで)、配線のしやすさを優先するとスリムタイプストレートケーブル次にフラットケーブルになります。20m程度までの配線であれば、どれでも問題ありません。(重量がかかる場所は適切な配線カバーを使いましょう)
「UTP=Unshielded Twisted Pair」の略です。「UTPケーブル」は「シールド処理が施されていない、ペアのツイスト(ねじった)ケーブル」のことです。普通に家電量販店に売られているLANケーブルはこのUTPケーブルであり、 SOHO(スモールオフィスホームオフィス)、家庭などの環境で使用されています。
「STP=Shielded Twisted Pair」の略であり、STPケーブルは「シールド処理が施されているペアの ツイスト(ねじった)ケーブル 」のことです。シールド処理が施されているため、電磁波やノイズの多い環境で仕様されます。
最重要、LANケーブルカテゴリー
このサイトを覗く方は、Ethernet規格というは聞かれたことがあると思います。10年前とかに有線LANの配線をしたような会社の場合は、100BASE-Tの機器やケーブルでネットワークが組まれている場合があります。ただし一般的なPCのイーサネットインタフェースは1000BASE-Tがほとんどになり、 100BASE-Tから1000BASE-Tの機器・ケーブル に変更・更新が進んでいます。 100BASE-Tと 1000BASE-Tの体感速度の差は規格数値ほど大きくないので混在環境の小規模事業所はまだあると思います。(ADSLを光回線に変えただけで、ハブやケーブルに無頓着な事業所も散見されます。)
当サイトではCAT.6をお勧めします。
当サイトでは結論的に、今から買うケーブルはCAT.6をお勧めします。将来的に10GBASE-T(以上の)システムを組むつもりの場合はCAT.6A以上ということになりますが、現状では10GBASE-Tの配線(システム)は専門業者にお願いしたほうが無難です。
CAT.6がお勧め品の理由はまず、価格が比較的安いということです。電気量販店にいくとCAT.7やCAT.8のケーブルが沢山ならんでいます。(在庫管理が行き届かず、売れ筋のCAT.6/ CAT.6Aが少なく、本来 CAT.6/ CAT.6A を展示すべきスペースも CAT.7やCAT.8が占領している店もあります)メーカやケーブルタイプで違いはありますが CAT.6と CAT.8ケーブルの価格差は2~3倍あります。
幅広く製品を揃えている店舗でも、店員さんは、高級な物を使うと安心とか、大容量転送に対応しています。(転送速度が速くなるようなイメージトーク)などの甘言で、高単価のCAT.8を勧めてくるかもしれません。騙されてはいけません。CAT.8は現状では完全にオーバースペックです。
詳しくは別に書きますが2.5GBASE-Tの環境を整える機器がやっとホームユースで手の届く金額で販売されだしました。さらに早い10GBASE-Tのシステムを組むことも可能ですが、業務用途でないとペイ出来ないような金額がかかります。ネットワーク環境だけでなくPCの性能も上げなければ高速環境になりません。
CAT.7やCAT.8のLANケーブルの出番は、全く無いと言っているわけではありません。金メッキのコネクターや導線に高価な無酸素銅素材などが使われているため、信号の減衰が抑えられたり・ノイズ耐性の向上で、ごくわずかな転送速度向上がある場合はあります。 25GBASE-Tや40GBASE-Tの速度は、PC・ルーター・ハブ等全ての機器が対応しなければコストに見合う性能は出ません。
もっと言うと、いま店頭にならんでいるCAT.7・CAT.8ケーブルはRJ-45コネクター付きです。本来この CAT.7・CAT.8のコネクターは「GG-45・TERA・ARJ-45」と言った規格の物です。
現在販売されている CAT.7・CAT.8ケーブルは 正式な規格に準拠したものではなく、メーカーの独自解釈・独自規格品です。つまりイメージ戦略的(このケーブルを使うと転送レートが速くなります)な商品であり今はまだ購入しない方が得策です。専門業者さんでも CAT.8ケーブルでシステムを組むのは尻込みされると思います。
特殊な業務「多量の動画データのやりとり・オンラインゲーム用途など」であってもケーブルは現状はCAT.6で十分です。最近は CAT.5eは店頭から消えてCAT.6さえも展示が減っていますのでCAT.6Aのケーブルを使うしかない時もあるでしょう。
では、今配線してあるCAT.5eは使えないのか?と思われる方もいるでしょう。上記の表で分かるようにCAT.5e 規格は2.5GBASE-Tに対応しており、将来の予定によってはCAT.5eのケーブルのままで問題ありません。現在1000BASE-T環境で2.5GBASE-T以上にアップグレードの予定がない、少なくとも5~6年は変更しない予定である(ほとんどのSOHOが当てはまるのではないでしょうか?)
LANケーブルのブランド品はパンドウイット社製
管理人お勧めは、 パンドウイット(アメリカが本社の日本法人Panduit Corp.Japan)という会社のLANケーブルです。
業務用の製品が主体の会社ですが、1mくらいから30mまで10色ほど揃えて既製LANケーブルを販売しています。価格はエレコム製品などと比べ5~6倍はします。信頼性を優先の時は購入を検討してください。
(注、価格が高いから転送レートが早くなるわけではありません。)
なお通信施工会社がよく使う国内メーカー品は100m~300m巻とかの長さで RJ-45コネクターを、後から加工前提の商品です。SOHOで使うにはハードルが高すぎと思います。
おまけダイソーのケーブルもCAT.6
先日ダイソーをぶらぶらしていたらLANケーブルが目に付き確認したところCAT.6の1mの物が100円で(税別)販売されていました。長い物は200円で5m、CAT6の物が売られていました。古い 10BASE-T時代のケーブルを使われているなら、まだダイソーのケーブルの方が良いかも。なお特におすすめするわけではありません。参考まで
残っているLANケーブルは全て処分を!
長年営業しているSOHOや小規模店舗に行くと、たくさんの古いLANケーブルやハブなどが箱に入れて取って置いてある時があります。LANケーブルのカテゴリーをチェックして、無印(多分CAT.3ケーブル)、ぼろぼろのCAT.5のケーブル、コネクターの爪が折れたケーブルなどは全て処分しましょう。スイッチングハブも 1000BASE-T環境に変えた時、そのまま残してた100BASE-Tの機器ならこれも処分したほうが良いでしょう。
自治体によりますが、使用済小型電子機器(小型家電)のリサイクルに取り組んでいる場合がほとんどで、持ち込み場所が用意されています。
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