PLC接続

PLCとは、電力線搬送通信のことです

「PLCは、電力線搬送通信のことです。」と言っても、なんのこっちゃ?という方がかなりの割合を占めるでしょう。
簡単にいうと、家庭内、スモールオフィスの電力線(電気の線)を使って通信をする装置です。コンセントにアダプターを挿しこんで通信が出来ます。コンセントLANと表示しているメーカーもあります。どちらかと言うと有線LANの製品です。

省略して、技術を説明すると、電力線には、電力用の50Hz/60Hzの電気が流れています。この線に、干渉しない周波数帯の微弱な電波を乗せて通信する方式です。(このため電波法の規制対象です)
PLCは、昔からある技術ですが、通信速度が遅く爆発的普及にはなりませんでした。2000年代に入り高速化&規格化の動きがでてきました。レンガやコンクリートを建築に多用する諸外国では、無線LANが届かないことが多く、PLCアダプターは日本より使われています。

PLCは、最後の切り札?

Wi-FiルーターやWi-Fi中継器を工夫しても、通信が不安定な時、切り札としてPLCを使うことがあります。 有線LANを引けば話は簡単なのですが、有線LANの配線工事が賃貸物件などで、出来ない場合威力を発揮します。

PLCの弱点、接続してみないと速度が分からない

1,通信速度が遅い、通信速度は、5~10Mbpsを覚悟しておくとよい。
規格的にはギガビットイーサーネット(1000Mbps)対応の製品(HD-PLCとか HomePlug AV2規格 )も出てきており、近距離同一配線の電力線内であれば、50~80Mbps程度の速度が出る場合もあります。しかし最悪5~10Mbpsしか出ません。なんとかWebサイト閲覧や見守り(監視)カメラなら使える程度の速度です。

2、PLC接続は実際に現場で接続してみないと、速度が分からないというのが最大の欠点です。
4LDKでリビングから端の子供部屋まで15m以上距離があるのに20Mbpsの速度が出るが、戸建てで、わずか数mの1F、2F間で5Mbpsしか出ないという現象は珍しくありません。電力線配線の状況に大きく左右されます。(下の説明をご覧ください。)

3,電力線から電源を供給されており、停電すると完全に使えなくなる

4,無線LAN(Wi-Fi)機器に比較して、販売されている機器の種類が、やや少ないのとメーカーをまたいでの互換性がありません。(だいぶ改善されつつあります。ただし現状では機器の、追加や買い替えは同一メーカー、同タイプでないと通信不良になります。

5,電力線のノイズに通信が影響される。電源ノイズフィルタ機能付き(電源タップ)を使うと通信速度が改善されます。

電力線の配線

パナソニック公式サイトより

事務所・家庭の電力線は、単相3線式(単相3線式100/200V)で供給されています。電線3本で100Vの電源を2つと、200Vの電源を1つ供給できます。PLCの通信速度に大きく関わるのが 100Vの電源が2つあることです。図のように分電盤を経由するL1とL2の線を、またいで経由すると通信速度がかなり落ちたり分電盤により通信できないこともあります。(注、パナソニックでは対策用の製品が用意されています。)

単相3線で、異なる相の系統でも、分電盤内の主幹もしくは分岐ブレーカに「端子台取付タイプ」を設置することで、L1相とL2相をまたぐ通信性能を改善できます。

パナソニック公式サイトより

参考、必要な回線速度

動画の解像度推奨される持続的な速度
4K20 Mbps
HD 1080p5 Mbps
HD 720p 2.5 Mbps
SD 480p1.1 Mbps
SD 360p0.7 Mbps
YouTubeヘルプより

参考までに、動画を見る場合どの程度の通信速度が推奨なのかの表です。この表によるとハイビジョン動画はPLC接続でも問題ないようです。4K動画は状況によるということです。
テキスト主体のWEBページ閲覧なら1Mbpsあればさほどストレスは感じないでしょう。動画のアップロードは20~30Mbpsはほしいところです。

Zoomなどで、Web会議をする場合、上り・下り10~15Mbpsあれば十分だと言われています。

遅いけどメリットが沢山あるPLC

1,何といっても、配線工事が要らないのがメリット。賃貸物件なので、そもそもLAN配線工事が出来ない場合や、広い家・事務所なので物理的に距離がある場合に検討に値する機器です。

2,セキュリティが強固、IDやパスワードが要らないのに暗号化通信AES128Bit、分電盤を越える通信は流れない。(隣家で傍受などは不可能)

3,設置が簡単、ルーターと繋ぎコンセントに挿すだけで使える(機械音痴でも大丈夫)

4,1と関連するが、機器の数量を用意すれば、広い工場・事務所などでも接続可能

5,Wi-Fiのように2.4Ghz帯の機器が多くても干渉は起こらないし、回線回線混雑時でも比較的通信が安定

家庭用PLCアダプターお勧め機種

無線ルーターやスイッチングハブなどの通信機器を沢山製造販売しているTP-LINKの製品です。この製品も業界最高基準の3年保証が付いています。

Tendaというメーカーの1000Mbps通信に対応(最新のHomePlug AV2規格)したPLCアダプターです。
実際にギガビットイーサーネットの速度が出るとは限りませんが可能性は感じます。

価格は少し高めですが、安心のパナソニック製です。ノイズフィルター付電源コードで接続する据え置き型の製品です。HD-PLCという規格で高速通信が可能な製品です。パナソニックは法人用PLC機器の製品ラインアップも豊富です。事務所・工場でPLCを検討の方はこちらを参照ください。

created by Rinker
パナソニック(Panasonic)
¥38,800(2024/01/01 02:47:13時点 Amazon調べ-詳細)

おまけ ノイズフィルター機能付電源タップ

雷サージ対応となっている電源タップは沢山ありますが、 ノイズフィルター機能付をアマゾンで探したところ、写真のエレコム電源タップKT-180という製品しか見当たりませんでした。

前の章でも書いていますが、 ノイズフィルター機能で通信速度が改善するのは、パナソニック製品には標準添付されているように効果が出ます。価格も1個500円程度なので試してみる価値はあると思います。

created by Rinker
エレコム
¥715(2025/01/23 03:13:18時点 Amazon調べ-詳細)
タイトルとURLをコピーしました